◇取締役の選任と解任はどう決めるのか?
取締役は、原則として株主総会で選任します。
株主が代表者ひとりだけで取締役も代表者だけの場合にも、株主総会で、株主である自分が自分を取締役に選ぶことになります。
取締役を解任するには、株主総会の普通決議で決まります。
◇取締役になれない人はいるのでしょうか?
①法人…会社などの法人は取締役にはなれません。
②成年被後見人または被保佐人…高齢や病気などの理由により通常の判断能力を失っているため、裁判所により後見人や保佐人が付けられている人は取締役にはなれません。
③会社法・証券取引法・破産法など会社に関連する法律に規定される罪を犯し、刑に処せられ、または刑を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
④その他の犯罪により禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで、またはその執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者を除きます)
ときどき未成年である子供を取締役したいという質問がありますが、取締役の責任を果たせるかどうかということはともかく、法律的には可能です。
◇取締役の解任のが簡単にできないようにするには?
取締役の解任は、株主総会の普通決議で簡単に決まってしまうため、これを回避するためには、定款で取締役解任の条件を記載することにより、解任の条件を厳しくすることもできます。
◇取締役の任期は?
取締役の任期は原則2年ですが、定款に定めることによって最長10年まで延長することができます。期間は10年以内であれば、4年や5年などと自由に設定できます。
代表者一人が取締役の場合、取締役の交代を考える必要はありません。取締役重任登記の手間と手数料を考えると、任期は最長期間である10年にしておいた方がよいのではないでしょうか。
◇役員重任登記を忘れずに!
役員の任期が終了し、次にまた同じ役員が選ばれることを「重任」と呼び、役員の任期を更新するということです。
役員の任期が切れたときは、役員の構成に変更がなくても、株主総会を開いて役員重任の決議を行い、それを議事録に残して、役員の任期を更新する登記を行う必要があります。
忘れて登記を行わないままにしておくと、登記所から突然数万円の罰金の通知が送られてくることがありますので注意すべきでしょう。
◇破産した人も取締役になれるのか?
会社法以前は破産手続き開始決定を受けて復権していない人は取締役になれませんでしたが、現在は取締役になることができます。
◇取締役になった場合にやってはいけないことは?
取締役が以下の利益相反行為、競業取引を行う場合は、会社に損害を与えるおそれがあるので、事前にその取引について株主総会または取締役会で承認を得なければなりません。
取締役会を設置していない会社は株主総会の承認が、取締役会を設置している会社では取締役会の承認が必要です。
(1)利益相反行為
取締役と会社との間で取引を行うことは、双方の利益が対立するので認められません。
例えば、取締役が会社の土地を不当に安い値段で買った場合は会社に損害が出ることになります。
(2)競業取引
取締役が自分や第三者のために、会社と同じ種類の他の会社の営業を行えば、会社に損害を与える危険があります。
具体的には、会社の取引先が奪われるなどの危険があります。
◇取締役会とは? 設置する必要があるか?
取締役3名以上で構成されるのが取締役会です。
会社の業務運営の決定やそれぞれの取締役が業務内容などの監督を行います。
公開会社では必ず設置しなければなりませんが、公開会社以外はは特に設置しなくてもかまいません。
①取締役会を設置していない会社は、株主総会でいろいろな意思決定を行います。
②取締役会を設置している場合は、取締役会で意思決定を行ってから株主総会の承認を得るという形になります。取締役会では、重要な業務執行や重要な財産の処分、社債の募集などの決議を行います。