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会社設立のポイント

会社設立…法人の種類には?

会社設立と言っても、その会社すなわち法人にはいくつもの種類があり、一般的に多い株式会社以外の形態での会社設立もあるのではないでしょうか。

法人には

営利法人、公益法人、中間法人などに分かれます。


営利法人とは

営利を目的とした法人で、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類がありその他にLLPという事業形態があります。

株式会社…原則としては出資と会社の経営が分かれているのが株式会社の特徴ですが、実際には出資と経営が一致する、いわゆるオーナー会社が多数です。

合同会社…少人数で柔軟に経営できるような新しい形態の会社で、配当額について出資額にかかわらず、出資者の同意により自由に配当ができるのが特徴です。


公益法人

営利を目的とせすに、公益を実現することを目的とした法人。社団法人財団法人などがあり、社会福祉法人医療法人宗教法人特定非営利活動法人(NPO法人)も広い意味で公益法人に含まれます。


中間法人

営利法人と公益法人の中間のような存在で、労働組合協同組合などです。


一般的に独立開業と言うと、大半は「株式会社」の形態となります。

その他に、「合同会社」や「NPO法人」というパターンも結構あります。今後、公益法人制度改正で「社団法人」「財団法人」というものも出てくるのではないでしょうか。
なお、「有限会社」は、現在は設立不可で以前設立されたものが存在しています。

各々、制度的な面のプラス・マイナスが有りますので、まず事業内容面からどの形態が適しているか検討するとともに、設立時だけでなくその後の運営での手続きの内容もよく理解すべきでしょう。
 また、その対外的なイメージ面からもどんな法人でスタートが良いかも検討すべき点ではないでしょうか。

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会社を設立するメリットは?

事業を行なっていくにあたり、会社設立するメリットはどんなところにあるのでしょうか?個人事業がよいのでしょうか検討すべきでしょう。 会社設立のメリット・デメリットをよく理解してから、会社設立を実行すべきでしょう。

◇事業の形態には? 

事業を行う方法としては、会社の形態と個人事業者の形態の2種類があります。どちらの事業形態が良いかは、業種や事業の内容・計画などがどんなであるかによると思われ一概にどちらとは言えません。

また、第三の方法として個人事業でスタートして数年後に会社へ法人化という方法も有りでしょう。

独立開業する場合に、会社形態でスタートか個人事業形態でスタートか迷われることが多いと思われます。事業計画が明確であり対外的にも「会社」形態でスタートとはっきり決めている方はそれがベストとでしょう。しかし、決めかねている方はよく検討することも大事でしょう。


◇会社で事業を行うメリット…その1「社会的信用

個人事業者よりも会社の方が、資本金があり組織化されているものと判断され一般的に社会的信用力があります。
会社は、商号、本店所在地、設立の年月日、取締役などが登記されていますので、これを登記簿謄本という公的書類で明確にできます。
個人事業者の場合、公的書類は市区町村などの住民票程度になります。

実際には、会社だから個人より資金面や組織面でしっかりしているとすべて言えるわけではありません。
ただ、個人事業者で事業内容が良いところは大半は会社への法人化していると言えます。したがって、個人事業者より会社の方が事業内容がしっかりしている可能性が高いということになります。


会社で事業を行うメリット…その2「営業面」

個人事業者の場合、営業面・販売面で不利や不可になるケースが有ります。

業種によっては会社でないと取引不可のケースがあります。例えば、あるネットショッピングモールでは出店資格が会社に限られています。

大手企業は、取引先を会社に限定しているケースも多いようです。

一般個人に広告・チラシ・DMなどを行う業種は会社であった方が印象が大きく違うのではないでしょうか。

大手企業が会社に限定するのは、大手企業自身の税金対策などの問題があるからのようにも思われますが、取引上個人事業者が不可であれば会社で事業を行わざる得ないでしょう。

一般個人に広く営業して事業を行う業種の場合は、やはり会社であった方が印象面で大きな差があるでしょう。こういう業種の場合には、資本金額社名なども印象を良くするために会社設立時からよく検討すべきでしょう。


会社で事業を行うメリット…その3「融資・借入」

その1の「社会的信用」とも関連する点ですが、融資借入の面で個人事業者に比べと会社の方が手続きや条件面で有利なケースが多いのでしょう。

金融機関へ融資を申し込むときには決算書などの提出を必ず求められます。
個人事業者の場合は、確定申告書と申告書に付随した簡単な決算書しかありません。会社の場合は、確定申告書決算書事業報告書などしっかりした書類を提出できます。

金融機関に多くの資料を提出することにより、経営状況を金融機関に伝わりやすくなるため、融資条件も有利になると期待されます。
会社として事業をしっかり計画実行して、その結果を決算書・報告書に表示することにより会社の事業内容代表者の考え方を明確にすることが融資のポイントになります。


会社で事業を行うメリット…その4「税金」  

節税の点では次のことが挙げられるでしょう。

①代表者が役員報酬を会社から受け取ることができます…これにより給与所得控除のメリットを受けることができます。最近、役員報酬についていろいろ規制が出てきていますが適格に実行すれば十分このメリットを受けることは可能でしょう。

②代表者や親族が退職金を会社から受け取ることができます…退職金に対する課税は比較的負担が軽くなっていますので、このメリットを活用することが可能になります。

生命保険の加入により、退職金積み立てと死亡保障対策が可能になります…生命保険の会社加入により節税とともに退職金と死亡保険金の確保ができるようになります。だだし、生命保険料の支払いは長期的計画をしっかり計画して資金繰りなどに影響もよく検討する必要があります。

④その他…社宅制度社用車、親族への役員報酬など


節税については、ある程度の所得(利益)がある場合にその効果がありますので、事業の計画段階でどの程度の利益が出せるのかよく検討することが大切です。
また、最初は個人事業でスタートして利益が多くなり税金負担が重くなってきた段階で法人化という方法もあると言えるでしょう。

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個人事業者の会社設立のメリットは?

個人事業者として事業を行っている人が、会社設立を検討したりすることも多いことですが、この場合のメリットは以下の点があります

法人成りメリット…その1「消費税の2期分の免税(納税なし)」

資本金1000万円未満の法人設立であれば、個人事業者の事業開始の2年間と同じく2期分の消費税が免除されます。

 だだし、23年度改正でこのメリットが1期分になる可能性があります。


法人成りメリット…その2「決算期の変更」

個人事業者の決算期は12月のみですが、法人の決算期は自由に決定・変更することができます。決算期の決定・変更により節税等がうまく図れることがあります。だだし、あまり不合理な変更は税務上の問題の可能性もあります。


法人成りメリット…その3「損失の繰越期間が7年」

損失(赤字)が出た場合、個人事業者だとその損失は3年しか繰り越しできません。法人化すると7年間損失を繰り越せるので、損失がムダとなることが少なくなります。

つまり、決算で赤字が出た場合、翌年以降の黒字と通算して翌年以降の法人税の負担をなくすことができますが、大きな赤字が出た場合できるだけ長期間で通算できた方がうまく赤字を使い切れるということです。
事業経営で毎年安定して黒字であるのが理想ですが、赤字となるケースも多くあります。この損失をうまく使うことが税金対策にもなります。


法人成りメリット…その4「損益通算で有利」

個人事業者の場合、所得区分によりそれぞれの損失利益損益通算が可能なケースと不可能なケースがあります。
法人の場合、すべての取引の損益を混ぜてしまうので損益通算の制限はありません

 
典型的な例では、個人事業者では不動産売却の損失は事業所得の利益と相殺できず、その損失はムダとなるケースが多くなってしまいます。法人であればこの様な事はありませんの。
不動産投資不動産運用を検討の方も法人で行った方が有利のケースが多いのではと考えられます。


法人成りメリット…その5「有限責任」

個人事業者は無限責任である一方、法人は有限責任となります。
つまり、事業の損失責任に対して個人事業者はすべての財産で填補しなければなりませんが、法人は出資額(資本金)を限度として填補すればよいということです。

金融機関からの借入では代表者の個人保証が必要となりこの点で無限責任となってしまいますので、あまりこの点はメリットとはならないのが実際です。

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会社設立…「機関」と「機関設計」とは?

会社設立では、「機関」とか「機関設計」とかいう会社の組織について考える必要があります。

株式会社とは…株式の発行で出資金を集め、その出資した株主から経営委任された取締役が会社を運営していく会社形態のこと。

中小会社の場合は…株主=取締役のケースが大半なので、取締役が株主から経営の委任を受けていると意識されていないのが通常です。

株式会社の内部組織…「機関

機関には…代表取締役や取締役、株主総会、監査役、会計参与など

機関の組み合わせ…「機関設計


株主総会とは

出資者である株主が出席して、会社の運営や管理などについて決議をする機関。
毎年決算後に行う定時総会と必要あるときに行う臨時総会があります。


取締役・代表取締役・取締役会

代表取締役取締役…株主から委任されて会社の経営を行います。

取締役会…取締役が3名以上いれば取締役会を置くことができ、ここで業務についての意思決定を決めます。
取締役会を置かない場合…株主総会が意思決定の代わりとなります。


監査役・監査役会・会計参与・会計監査人

これらは、会社運営が適切に行われているか、決算書などが正しく作られているかなどをチェックするの機関。


中小会社に適した機関のパターン

機関設計のパターンは多種多様ですが、中小会社の機関設計のパターンには次のようなものがあります。

 ①株主総会+取締役…取締役1名の最もシンプルな形式です。旧有限会社に近い形です。

 ②株主総会+取締役+監査役(会計検査のみ)…上記①に監査役(会計監査に限定)を置く形式です。

 ③株主総会+取締役+会計参与…上記①に会計参与を置く形式です。会計参与は税理士または会計士しかなれません。

 ④株主総会+取締役(3名以上)+取締役会+監査役

 ⑤株主総会+取締役(3名以上)+取締役会+会計参与

会社設立で取締役と代表取締役とは?

会社設立で、取締役とか代表取締役とか決めますが、その役割と責任の基本的なことは理解しておいたほうがよいでしょう。

取締役の役割と人数

  取締役は…株主総会で株主から会社の経営を委任されます。
  株式会社では…必ず取締役1名以上が必要です。

  中小会社では…社長1名を取締役とするだけで株式会社とすることも多いです。

  取締役会を設置するには…取締役を3名以上が必要です。


取締役の職務

  (1)業務執行権…取締役は会社の業務を行い、2名以上の取締役がいる場合には取締役の過半数で決定します。

  (2)代表権…取締役は会社を代表して、2名以上の取締役がいる場合には、原則としてそれぞれが代表権を持ちます。
  代表権を1名の取締役だけにしたいときには…1名の取締役が代表取締役となり、それ以外は代表権を持ちません。


代表取締役の選定

  取締役会を設置しない会社では…定款取締役間での決議(定款に定めていることが条件)や株主総会の決議によって代表取締役を選びます。

  取締役会を設置する会社では…取締役会で代表取締役を選びます。
 
取締役の義務

  (1)善管注意義務…取締役は、会社経営に対して常に最大の注意を払って業務を行う必要があります。

  (2)忠実義務…取締役は、法令などを守って会社に対して忠実に職務を行う必要があります。


取締役の責任

取締役は、「違法な配当」「利益供与」「利益相反取引」「競業取引」などの行為をした場合には損害賠償責任を会社に対して負います。

ただ、株主の同意がある場合には会社に対する責任を免除できます。その他にも一定の条件がある場合には、会社に対する責任を一部免除できます。

また、悪意や重過失によ⊃で第三者に損害を与えたときには損害賠償責任を負います。

中小会社では、あまり取締役の義務・責任など意識していないことがほとんどでしょうが、一応基本的なことは確認した上で会社設立を進めた方が良いでしょう。
 
大会社では、ときどき株主代表訴訟などで取締役への損害賠償請求が提訴されますが、中小会社でも第三者株主がいる場合には同じようなことも有りうると言われます。したがって、株主、取締役の選定にも少々注意すべきでしょう。

会社設立での株主の権利と責任とは?

会社を設立する場合には、資本金を代表者とその親族で出資することがほとんどなので、株主としての意味合いを感じていないケースが多いのですが、基本的な権利・責任は理解するとよいでしょう。
会社設立時から、また設立後に第三者から出資を受けるケースではしっかりその重要性を理解すべきでしょう。

株主の権利

株主は、会社に対して出資をして会社のオーナーとなり、以下の権利があります。
 
配当などの経済的利益を受けられる権利

配当とは、株式会社が利益の一部を株主に還元することをいいます。

上場会社では、中間配当・決算配当などが株主に対してなされることが多いですが、中小会社では配当はあまり多くはないのが現状でしょう。配当金は、会社の経費(損金)ではなく、税引後利益から支払うもので法人税の節税になるものではないからでしょう。


議決権などの会社経営の監督をする権利

株式会社の意思決定機関は、株主が出席し議決を行う株主総会であり、会社の重要な意思決定は株主総会の承認を受けることが必要です。

中小会社のオーナー社長の場合には、出資者と経営者が同じなので議決権について実際には意味がありません。しかし、株式会社は出資者経営者分離しているのが基本であり、株主は経営を監督する権利を持っています。


株主の責任

株主は、株式の価額を限度に出資義務を会社に対して負います。

具体的には、会社の経営が悪化して多くの負債を抱えても、債権者(金融機関など)から株主に対して負債の返済が直接請求されることはなく、出資した資金が債務の返済にあてられることはありますが、それ以上の資金の提出を求められることはありません。これを「有限責任」といいます。

会社の株主になることだけでは、会社が破たんした場合の責任は出資金までで済みます。だた、取締役・代表取締役であったり、借入金の保証人になれば破たんした場合は個人的責任が出てきます。実際は、このケースが多いでしょう。

会社設立の定款に株式譲渡制限を入れるべきか?

会社設立時に株式譲渡制限の条項を入れるべきかの問題があります。会社設立後の運営をどのようにやっていくかが判断のポイントですが、中小会社の場合はほとんど譲渡制限を入れているといえるでしょう。
なお、会社設立時の定款への記載方法もご参考下さい。

株式の譲渡制限 

株主間での株式の売買は、原則として自由です。ただ、自由に売買した結果、会社にとって好ましくない人がいつのまにか株主になっていたら会社としては困ります。

そこで株式の譲渡を制限する決まりを設けることが認められています。

「当会社の株式を譲渡する場合には、株主総会の承認を受けなければならない」という規定を定款に入れることで、株式を譲渡するとき株主は株主総会の許可をもらわなければならないことになります。

株式譲渡が認められない場合には、株主は会社に株式を買い取ってもらうか新たな売却先を指定してもらうことになります。


中小会の場合に株式の譲渡制限の規定がないと、株式の一部を第三者が取得しこの第三者と対立すると上記の配当請求権や議決権を行使して会社運営に支障が出てきてしまいます。第三者でなくとも親族間で対立が発生するとこの方法でトラブルとなってしまうケースも出てきますので、この制限は必ず設けるべきでしょう。
 

株式譲渡制限会社(非公開会社)

全ての株式に譲渡制限をしている会社を「株式譲渡制限会社(非公開会社)」と呼びます。
株式を売買する時は会社の承認が必要なので、ある意味閉鎖的といえます。閉鎖的な有限会社の良いところを残してあります。


会社の経営の意思決定の仕組み(機関)をシンプルにすることにより、従来の有限会社型のシンプルな経営が可能となります。
例えば、株式譲渡制限会社の場合は取締役1名で設立でき、監査役も不要です。株式譲渡制限は後から取り除くこともできます。


公開会社

株式譲渡制限会社とは反対に、一部の株式だけを譲渡制限している株式会社やまったく譲渡制限をしていない株式会社を「公開会社」といいます。
この公開会社とは、一般的な上場会社という意味ではありません。株式譲渡制限についての会社法の区分の言葉で、株式会社は公開会社株式譲渡制限会社の2種類に分かれます。


公開会社では、必ず取締役会を設けなければならず、したがって取締役3名以上が必要がです。株式の譲渡を全部制限するか一部だけにするかは、会社の仕組み(機関)に影響します。
 
株式譲渡制限の具体的な方法

設立時の作成する定款に「譲渡制限をする」という決まりを入れるだけで、株式の譲渡制限がされたことになります。

「当会社の株式を譲渡する場合には、株主総会の承認を受けなければならない」を「当会社の株式を譲渡する場合には、代表取締役の承認を受けなければならない」と規定して、代表取締役一人で株主構成をコントロールすることもできます。

会社設立の手続き

Q 株式会社設立の大まかな手続きの流れは?
A 1.株式会社の設立手続きは、発起設立と募集設立の二つの手続きから選択できます。2.「発起設立」は、発起人のみで設立時に発行する株式の総数を引き受ける手続きで、基本的に少数の出資者での起業を検討している場合に選択する手続きです。3.「募集設立」は、設立時に発行する株式を発起人以外の者に対しても募集を募る方法で、多数の出資者を募る必要がある場合や、印鑑証明を取得できない外国人出資者が存在する場合に選択される手続きです。4.株式会社は、設立登記をすることのよって成立します。

Q 会社の商号・事業目的等を決めるにあたり、何か制限は?
A 1.会社は、商号の中に、その種類(株式会社、合名会社、合同会社、合資会社)の文字を用いなければなりません。他の種類の会社と誤認される商号を用いてはいけません。2.不正の目的をもって、他の会社と誤認されるような商号を使ってはいけません。3.事業目的の内容は、適法性、明確性、営利性を備える必要があります。

Q 定款にどのようなことを記載すべきか?
A 1.定款に必ず記載しなければならない絶対的記載事項といわれるものと、定款に記載しなければ効力を発生しない相対的記載事項といわれているものがあります。2.絶対的記載事項とは別に、発起人全員の同意で決めなければならない事項もありますので、通常はそれらの事項についても定款に記載します。3.定款には、発起人が記名押印をします。発起人は実印で押印しなければなりません。設立の際の定款は、公証人の認証を受ける必要があります。

Q 設立時の役員の選任は?
A 1.定款で設立時取締役や設立時監査役を定めることもできます。2.発起人の決議権の過半数で、設立時の取締役や監査役、会計参与等の役員を選任します。3.取締役会設置会社を設立しようとしている場合は、取締役は3人以上選任する必要があります。4.取締役会設置会社を設立しようとしている場合は、設立時取締役の過半数でもって、代表取締役を選任する必要があります。5.監査役会設置会社を設立しようとしている場合は、監査役は3人以上選任する必要があります。

Q 資本金の払込みの方法は?
A 1.発起設立の手続きの場合は、発起人のうちの一人の銀行口座にそれぞれの発起人が振込等をして、払込みをします。2.設立登記の申請には、その通帳をコピーして会社の代表権を有する取締役が払込み等を受けたことを証明します。3.募集設立の手続きの場合は、銀行等の金融機関に「払込金保管証明書」の発行を依頼する必要があります。

Q 設立準備手続き後の設立登記の申請の方法は?
A 1.設立登記申請書を法務局で受け付けされた日が、会社設立日となります。2.設立登記申請のために、登録免許税を納付する必要があります。登録免許税は、登記申請書のその額の収入印紙を貼付して納めます。3.登記は、本店所在地を管轄する法務局に申請します。4.登記申請書を記載し、登記申請書に添付する書類をそろえてホッチキスでとめて申請します。

会社設立にあたり会計参与と監査役を置くべきか?

会社設立に際して監査役や会計参与(あまりなじみがないかもしれませんが…)を置くべきか迷われる点かもしれません。監査役や会計参与の内容を理解して会社組織をどうするかのところから判断すべきでしょう。
会社設立時にはこれらを置かず、会社設立後に会社が発展してきたときに再度検討してこれらを置いて会社運営をしっかりさせていくのも方法と考えられます。

会計参与

外部の会計の専門家を会社内部役員扱いとする制度です。

内部の人間として取締役と一緒に決算書を作成するのが主な役割ですが、取締役の不正を発見したときは、株主に報告しなければなりません。

会計参与になれるのは、税理士(税理士法人)や公認会計士(監査法人)だけです。


会計参与を設置するメリットは、会社の決算書信頼性が増すことにあります。会計参与は設置を義務づけられているわけではないので、設置をしなくても問題はありません。

 

監査役

経営者がきちんと業務を行っているかをチェックする機関で、取締役の業務執行監督します。

会社法ができる前は、株式会社に取締役3名十監査役1名を必ず設置しなければならないものでした。

監査役の監査は、会計監査と業務監査に分けられます。
 ①会計監査…会社の財務状況を監査するもの
 ②業務監査…取締役の業務状況を監査するもの

会社設立と登記の流れは?

会社設立のなかで、株式会社の設立には、以下の手続きをすすめなければなりません。会社設立するための時間は、最短でも約2週間ほどかかります。
会社設立の手続きだけでなく、会社の業務内容や会社設立後の問題もしっかり計画することが大切ですので、十分な時間をもって会社設立全体を考えてみて下さい。


発起設立と募集設立

株式会社を設立する方法には、発起設立募集設立の2種類があります。

中小会社のほとんどは発起設立の方法で、以下のとおりとなります。

(1)発起設立
 会社設立時に発行済株式の全部発起人が引き受ける設立方法で、少人数で会社を設立する場合の方法です。

(2)募集設立
 発起人が株式の一部を引き受け、残りの株式は募集して引き受けてもらう設立方法です。規模の大きい会社は募集設立の方法がとられ、創立総会を開くなど、発起設立と比べて設立方法はやや複雑です。


会社設立手順…設立1週間前まで 

  ①発起人の決定…設立手続きを行なう発起人を1名以上決める

  ②会社名・事業目的の決定…会社設立に必要となる基本的項目を決める

  ③機関決定…会社の意思決定の仕組み作る

  ④発起人の印鑑証明書の準備…発起人全員の印鑑証明書を準備する

  ⑤株式払い込み口座の確認…発起人名義の預金口座を準備する

  ⑥法人印の作成…代表者印・角印・銀行印などの作成をする

  ⑦定款の作成…会社の運営に必要なルールを決める


会社設立手順…設立前日まで

  ⑧定款の認証…作成した定款を公証人役場で認証を受ける

  ⑨設立時株式発行事項の決定…株主・出資額などを確認する

  ⑩発起人による株式引受同意…定款に記載あれば書類作成は不要…発起人同意書

  ⑪株式の払い込み…出資者に指定した口座へ払い込んでもらう…株主名簿

  ⑫取締役の選任本店所在地の決定
     
…定款に記載あれば書類作成は不要…設立取締役決議書本店所在地決議書

  ⑬取締役による調査
     
…会社の資本金の調査をする…払い込み証明書資本金計上証明書


会社設立手順…設立日

  ⑭設立登記登記所で設立登記を行うことにより会社設立となる…登記申請書


会社設立手順…設立日以降

  ⑮会社名の銀行口座開設・各種契約等
     …会社名義での契約等は設立登記後に可能となる


会社設立手順…設立2ヶ月以内

  ⑯各種届け出
     …税務署都県税事務所市区町村役場への設立届等の提出をする
        …法人設立届出書など 

会社設立に必要なものと費用は?

会社設立では、必要になる作業と必要なものと必要な費用についていろいろ煩雑です。会社設立をスムーズにすすめるためには、以下についてよく理解されるべきでしょう。
会社設立の費用をできるだけ抑えるには、会社設立の手続きにより異なりますのでどのようにするかは重要です。


発起人とは

 発起人は会社の設立登記が終わるまで、以下の会社設立の手続きを行います。

  ①定款を作成する
  ②株主を募集すること
  ③株主に出資金を払い込ませること


定款

 定款とは、会社の目的や活動など基本的事項に関する規則をまとめたもので、会社名や事業目的、会社住所など基本的事項を記載します。


会社設立に必要なもの

  ①発起人の実印

  ②発起人の印鑑証明

  ③設立する会社の代表者印

  ④代表者の実印(発起人の実印と同じでも可)

  ⑤代表者の印鑑証明(発起人の印鑑証明と同じでも可)…2通

  ⑥役員の実印(発起人を兼ねている場合の実印と同じでも可)

  ⑦役員の印鑑証明(発起人を兼ねている場合の印鑑証明と同じでも可))…1通

  ⑧株式の払込口座(発起人名義のもの)

  ⑨株式の払込口座の通帳コピー(払い込み後のもの)
     …出資金が払い込まれた証拠として必要


株式の払込口座

 出資する金額を払い込みは、定款の認証が終わった後に、発起人の個人名義の口座に、出資する金額を払い込みます。
 この通帳のコピーを設立登記の申請に添付します。

 登記が完了後、会社の登記簿謄本などを金融機関に提出して会社名義の口座ができます。


会社設立の費用

 株式会社の設立費用は以下のとおりです。 

  ①資本金 任意の金額(最低1円より)

  ②登録免許税 15万円

  ③定款認証 5万円

  ④印紙代 4万円(定款を電子認証すると不要となります)

  ⑤謄本交付手数料 (約2000円)

  ⑥印鑑作成代

  ⑦その他、司法書士に登記手続を依頼するなら手数料が別にかかります。

会社設立における発起人の決定と役割は?

会社設立において、発起人は会社の設立を実行する人であり、発起人を中心にして定款認証をはじめとする会社設立手続きを行います。
中小企業における会社設立では、通常代表取締役となるべき人が発起人になります。


発起人の人数と発起人総代

発起人は、まず代表取締役となる人がなります。
発起人の数は1名以上であればよいので、多くは代表取締役になる人1名で発起人となります。

発起人は設立に関わったことを証明するために、定款には発起人の実印を押印し、定款の認証には発起人の個人の印鑑証明書を提出します。

発起人が複数の場合は、1名を発起人の代表として「発起人総代」とします。


発起人の役割と責任

発起人の主な役割としては、「定款の作成」「株主を募集すること」「株主に出資資金を払い込ませること」です。

会社設立での商号の決め方

会社名のことを「商号」といい、会社設立ではいろいろ考えるところです。商号は原則自由に付けることができますが、以下のルールがありますので注意が必要です。
会社設立後に商号の変更も可能ですが、やはり対外的に簡単には変更しづらいところですので会社設立時にしっかり考えるところでしょう。


商号のルール

 「株式会社」の文字を必ず入れます…社名の前後、または中間に入れます。

 数字ローマ字も使用できます
   …漢字、ひらがな、カタカナ、数字、ローマ字が使用できます。

 著名な名前使用できません
   
…有名企業の商号や社会的に認知されているブランド名は使用できません。

 使用できる記号限られています
   
…使える記号は「&」「‘」「,」「-」「・」「.」のみです。ピリオドは文末のみ使用できます。  「!」「?」「☆」「○」などは使用できません。

 支店名部門名入れられません
   
…会社名の後に支店や部門、部署などを入れることはできません

 法的に資格がない言葉は使えません
   …銀行信託病院など実際に営む業種以外の言葉は使用できません

 公序良俗に反する商号は使用できません
   …殺人・脱税請負・密輸専門など


類似商号…紛らわしい商号は不正競争防止法違反に

「同じ住所で同一の商号を付けることができない」ということにも注意が必要です。以前は厳しいルールとなっていましたが、大幅に緩和されています。

類似商号規制は緩やかになりましたが、でされば事前に同一の商号があるかどうかを、登記所かインターネットの検索エンジンなどで確認しておく方が良いでしょう。

有名企業と同じ名前を付けることは、不正競争防止法という法律でも問題があり、損害賠償請求の対象にもなります。

紛らわしい商号でも登記が可能にはなりましたが、その反面、他社から訴えられる危険性があるので、商号は慎重に検討すべきです。

会社設立での本店所在地の決定

会社設立では会社の本店を決めなければなりません。本店と言うと何か大げさな感じがしますが、会社の住所地のことです。
中小企業では、会社設立時は代表者の自宅として、会社設立後に事業が軌道にのったころオフイスや店舗を借りて本店をここに変更することも多くあります。 

 

会社の法律上の住所 

本店所在地とは会社の事務所を置く住所のことで、1ヶ所本店所在地を定めることが決められています。
⇒設立登記や税務関係の届出は、本店所在地管轄する登記所税務署などで行います。
 
定款を作る段階では、「東京都立川市」というように、最小行政区画まで決定していれば手続きとしては問題ありません。
設立登記では、本店所在地は登記事項ですので、地番までの所在場所を決定しなければなりません。

本店所在地は番地まで登記事項となりますが、事務所がビルやマンションにある場合、ビル名マンション名などを登記するかは会社の自由です。
ビル名を省略して登記をしても、マンションの部屋番号まで入れて登記をしても、部屋番号は入れずにマンション名だけて登記をしても、問題はありません。


本店所在地の決め方

複数の所在地候補がある場合には、各市区町村や都道府県の融資制度を確認し最も有利なところを選ぶのも1つの方法です。
…多くは、開業1年以上、かつその地方自治体に納税をしていることが条件とされています。

多くのケースでは、営業エリアの中心地や拠点になるところから事務所や店舗を借りてこの場所を本店としています。
代表者の自宅を本店とするケースも多くありこれも問題ありません。


本店所在地の記載方法(定款、設立登記)

本店所在地は定款の記載事項で、その定款への記載方法は以下の2つがあります。

最小行政区画を記載する
最小行政区画とは、東京都は特別区(いわゆる23区)で、それ以外(政令指定都市を含む)は市町村となります。
 …例 東京都千代田区東京都立川市 

具体的な本店の所在場所まで記載する
 …例 東京都立川市柴崎町4丁目5番地2号
 
①の場合、本店所在地を移転するときは、同じ行政区画内ならば定款を変更する必要はありません。例えば、東京都立川市ならどこに引っ越しても定款の変更は不要です。

②の場合、新住所への定款の変更が必要です。

 …設立登記をするときは、番地まで登記しなければなりません。

会社設立での事業目的の決め方は?

会社設立時には、事業目的を決めなければなりません。会社を設立してからやろうとする事業の内容ですので、こういうことをやっていくと決まっているのではないでしょうか。
ただし、会社設立時の定款への記載には以下の注意が必要です。

事業目的は第三者に公表
 
事業目的とは、会社が行う事業内容を記載したもので、事業目的は登記事項ですので第三者も登記簿謄本を取得することによりその確認することができます。

定款に記載した事業目的以外の事業を行うことは禁止されていますので、定款に記載していない事業を行う場合は定款の変更する必要があります。

 事業目的の例
  1.コンピューターのソフトウェアの開発
  2.インターネットのホームページの企画立案
  3.インターネットを利用した各種情報提供サービス
  4.広告代理業
  5.コンピューター教室の経営
  6.その他前各号に附帯する一切の業務


事業目的の決め方

 事業目的を決めるには以下のルールがあります。具体的表現については、登記所などで確認をして既存の事業目的から選ぶべきでしょう。

 ①設立後すぐに始める事業目的を入れる

  会社で行いたい業務を入れておきます。特に、許認可事業を行う場合には、その許認可を受ける事業内容に合った目的を入れなければなりません。

 ②将来的にやりたい事業目的も入れておく

  将来やりたい事業の記載も可です。あとから定款を変更するコストや手間を省くために、将来的に行っていきたい業務を入れておく方がよいでしょう。

 ③最後に「前各号に附帯する一切の業務」という文言を入れる

  事業を行うなかで、最初に決めた事業目的に関連する業務を行わなければならない可能性があります。この文言を入れておけば、定款を変更するコストと手間を省くことができます。


事業目的に数の制限はない

定款に記載する事業目的の数に制限はありません。事業目的は登記事項でもあり、登記簿謄本を取得すれば第三者も見ることができます。
事業目的は1つだけでもかまいません。その場合は「前各号に附帯する一切の業務」に代えて「前号に附帯する一切の業務」という言葉を記載します。


事業目的は、あまりにも数が多すぎたり、かけはなれた分野の事業目的がいくつも記載されていたりすると、何をする会社かが明確でなく、印象が悪いように感じます。一般的には4~5個の会社が多いです。

 

会社設立での資本金と株式は?

会社設立時には、会社の資本金の金額を決めなければなりません。
資本金として決めた金額は、出資者はその金額のお金を会社のお金に入れるのであり、会社設立後はそのお金はあくまで会社のもので、すぐ返すことはないものと考えておくべきです。


資本金とは

株主が出資した資金のこと。

借入金(他人資本)は貸主に対して返済をしなくてはならないのに対して、資本金(自己資本)は出資した株主に返済する必要がありません。

資本金を元手に会社を運営していくことになります。


資本金の払い込み

株主は株式を引き受けて、その金額の現金を払い込むという形で会社に出資をします。

資本金の額は、「発行株式数×株式の発行価額」となります。

株式の発行価額、発行株式数、株式を誰が何株引き受けるかなどを決定します。

株式の発行価額は自由ですが、一般的には10万円、5万円、1万円のいずれかにするケースが大半です。


発行可能株式総数

会社が発行可能な株式総数のこと。

小規模会社の場合、発行可能株式総数を制限する規定はありません。

設立時発行株式数を100株とした場合に、発行可能株式総数を500株でも1000株でもかまいません。

将来、増資で資本金が最大どのくらいになるかから決めればよいでしょう。

会社設立時の資本金と出資者の決め方は?

会社設立時に資本金の額をいくらにすべきか質問が多いところです。会社設立後のこと、すなわち税金上の有利不利、許認可の問題、対外的なイメージ、などなど検討すべきところです。
ただ、資本金としたお金は、出資後は会社のお金で会社設立後に出資者に返金することは会社法上も問題がありますが、会社設立後、金融機関へ融資の申し込みで最も嫌がることですので注意して下さい。


資本金の決め方

平成18年5月より、会社設立の時の最低出資額規制が撤廃され、最低1円の資本金で株式会社が作れるようになり、株式会社が大幅に設立しやすくなりました。

今までも資本金の額で会社の規模をあらわしたり、会社に対する信用の判断基準となったりしていましたが、この基準が完全に無くなるとは考えられません。

資本金額には、代表者の会社設立に対する計画性堅実性の程度も測りうる目安のひとつと言えます。


法律上は1円の資本金ての会社設立が可能ですが、実際に事業を行うと資本金が少ない場合、すぐに資金繰りが厳しくなってしまいます。
新規事業者で業績が赤字の場合、金融機関の融資を受けることは相当に厳しいものです。必要かつ十分な元手である資本金は準備すべきです。


出資者の決定

誰が株主になって、それぞれいくら出資するのかを決めます。法人が出資者になることもできます。

会社の重要な意思決足をするのは、株主が集まった議決機関である株主総会ですが、通常の決議は過半数、特に重要な決議を行う場合には3分の2以上の議決権の賛成が必要になります。
したがって、会社の経営権を把握するには、3分の2以上を出資することが必要となります。

会社は株主名簿で株主をきちんと管理する必要もあります。


許認可事業の場合

事業によっては役所等へ許認可届出が必要なものがあります。

許認可の要件に一定の資本金を要件としているものもあるので、要件とされている資本金額に注意して会社を設立する必要があります。

例えば、建設業認可の場合、500万円以上の自己資本(設立段階では資本金と同じ)という要件があります。

会社設立時の現物出資の手続きは?

会社設立の資本金として出資する場合は、一般的には預金ですが、物を出資(現物出資)することも可能です。現物出資のケースは、個人事業者が会社設立するときに個人事業の事業用資産を出資にあてることが多いように思われます。 


現物出資 

資本金は現金で準備するのが原則ですか、現金以外の物を資本金とすることができ、これを現物出資といいます。

現物出資できる財産としては、自動車、パソコン、不動産、有価証券などがあります。

会社設立時の財産価格の総額が500万円を超えない場合には、検査役等の調査不要です。

現物出資の資産を「適正な時価で評価する」ことが必要です。


個人事業者が法人成りで会社設立する際に、この現物出資が多いように思われます。また、資本金額を多くしたい場合にも現物出資が使われることが有ります。

会社設立の資本金1億円以下のメリットは?

会社設立で資本金の額を決めなければなりませんが、その額が1億円以下、1000万円未満により税務上のメリットがあります。
実際上は、資本金を1000万円以上とするというケースはまれなので、1000万円とするか1000万円未満とするか判断のポイントでしょう。 


資本金1億円以下の会社のメリットは以下のとおりです。


法人税率が低くなる
  

法人税の税率は30%ですが、資本金1億円以下の会社は、所得金額が800万円以下の税率は18%となります。


交際費の損金枠がある
  

資本金が1億円超であれば交際費の全額が経費となりません。資本金1億円以下の場合は、年間600万円部分までならば、90%部分が経費となります。


特別償却、特別控除が適用できる
  

中小企業者には法人税法の計算上、有利な特別償却や特別控除が適用できます。


留保金課税がかからない  

一定の要件を満たした同族会社についてかかる留保金課税という制度も、資本金1億円以下の会社ならば適用されません。


30万円未満も減価償却資産が全額経費となる  

資本金1億円以下で一定の要件を満たした会社は、30万円未満の減価償却資産について取得時に全額経費となります。


法人住民税の均等割が少ない  

法人住民税のうち均等割部分は、資本金や従業員数の少ない会社の方が納める金額が少なくなります。

 

資本金1000万円以下の会社のメリットは以下のとおりです。


消費税が設立2期間免除される

資本金1000万円未満であれば、会社設立2事業年度は消費税が免除されます。
ただし、23年改正で1期目前半6ヶ月の課税売上高が1000万円超なら2期目は免除されなくなりましたので注意が必要です。 


法人住民税の均等割が少ない

都道府県税の均等割は、資本金1000万円以下であれば2万円、1000万円超は5万円となります。

市町村税の均等割りは、資本金1000万円以下で従業員50人以下なら5万円、資本金1000万円超で従業員50人以下なら13万円となります。


 会社設立で資本金について1000万円のラインが税務上のポイントと言えます。消費税2年間免除をしっかり受けるようにすること、均等割の金額が少なくなることが大事なところでしょう。後から資本金の減資をするのは、手間と費用が結構かかりますので、会社設立時が肝心です。

決算期はいつが良いのでしょうか?

◇決算期とは…

 会社は、通常1年間の営業年度(事業年度)で、決算書類の作成や法人税などの申告を行います。
 …この事業年度の終りとなるところを「決算期」、終りの月を「決算月」といいます。

 事業年度の期間は、1年以内となりますが、ほとんど1年としています。

 ただし、会社設立の第1期目は、12ヶ月以内の月数になることもあります。

 たとえば、3月3日の設立日で決算期を9月末とすると…第1期目は、3月~9月の7か月の事業年度となります。第2期目以降は、10月~9月の12ヶ月となります


◇決算月の決め方は

決算期は自由なので好きな時期でもよいと言えますが、決算期後の2ヶ月以内確定申告が必要になりますので、以下の点を考慮して決めるべきでしょう。

 ①決算期は棚卸作業が必要になるので、在庫が少ない時期にする。

 ②決算期が忙しくない月、申告月(決算月の2ヶ月後)が忙しくない時期にする。

 ③消費税の免税メリットを受けられる1期目をあまり短くしない。

 ④設立してすぐに決算月がくるのは避けるべき…売上が少ない決算書となったり、決算申告の費用負担がすぐ発生してしまうデメリットがあります。

 ⑤利益が多額に発生すると予想される月から決算月を避けるべき…決算最後に利益が多額に発生すると節税対策が難しく、予想外の税金負担が発生しやすいでしょう。

 設立時では、消費税の免税メリットから決算月を決定することが多いように思われます。

 設立数年後には、会社の月ごとの利益の状況から節税面を考え適正な決算月の変更も検討すべきではないでしょうか?

決算公告とは?その方法には?

◇決算公告とは…

決算公告とは、会社の財務内容(貸借対照表など)を外部に公表することです。

毎期決算ごとに決算公告をすることは、株式会社に義務づけられています。

手間と費用がかかりますが、公告を怠ると100万円以下の罰金が課せられることになっています。


◇決算公告の方法と概算費用は…

 ①官報に記載…約6万円前後

 ②日刊新聞紙に記載…約70万円前後

 ③電子公告(ホームページ)…自社のサイトであれば費用は不要


会社の設立時に、決算公告の方法を上記3種類から選択しその方法を定款に記載します。定款に公告方法を定めない場合は、官報に公告をすることになります。


◇電子公告(ホームページ)の注意点には…

 ①ホームページ上に貸借対照表の要旨ではなく全体を掲載します。
 ②会社の登記時には掲載するホームページのURL登記します。
 ③貸借対照表は5年間掲載しなければなりません。
 ④掲載するホームページは自社のものではなく他社のホームページでもOKです。
 ⑤無償でパスワードなどを使わなくても閲覧できるようにする必要があります。


決算公告について現実的には実行していないケースが多いところですが、会社設立時には定款に記載する必要がありますので、一応理解しておいたほうが良いのでしょう。

HPでの公告は費用がかかりませんが、対外的にあまりにもオープンになってしまう点も注意かもしれません。

取締役や監査役などの機関をどのように決定すべきか?

 「機関」とは、会社の意思決定や行為をする組織のことです。

 役員の人数や監査役を置くかどうかなどは、会社規模に応じた適切な形態を選択すべきでしょう。特に、会社設立にあたって、機関設計は会社運営のポイントとなります。


中小会社の機関設計について、全部の株式に譲渡制限をした「株式譲渡制限会社」を前提にすると以下のように考えられます。

◇中小会社向けの機関設計は…

中小会社の大半は、会社のオ-ナーである株主と経営者が同一なので、コンパクトな機関を設置することを選択すべきでしょう。

ポイントは、取締役会を設置するかどうかです。取締役会を設置しなければシンプルな会社の経営形態となり、取締役会を設置すれば経営に関する意思決定のプロセスは少し複雑になります。

◇中小会社向けの機関設計における決定すべきことは…
取締役の人数…取締役を1名だけとするか2名以上にするか決めます。3名以上いれば取締役会を設置できます。
        
取締役会の設置…取締役会を置くためには、3名以上の取締役が必要です。さらに、監査役(監査役会)か会計参与のいずれかを置かなければなりません。
      
監査役の設置…監査役を置かない場合と、監査役の監査範囲を会計監査に限定した場合には、株主による業務監査の権限が強くなります。
        
監査役の監査の限定…監査役の監査範囲を会計監査に限定したい場合は、監査役会、会計監査人を置けません。また、監査役の監査範囲を業務監査のみこ限定することはできません。

会計参与の設置…新しい制度なので、メリット・デメリットをよく検討すべきでしょう。

監査役会の設置…監査役会を置くには、3名以上監査役を置く必要があります。また取締役会の設置も必要です。

会社設立時に機関についてあまり考えず決めてしまうケースが多いのが実情ですが、将来的に会社を組織化をしていくことを目指しているならば機関についてもよく検討すべきでしょう。

株主総会とは…? 定時総会とか、臨時総会とか?


◇株主総会とは…

会社の出資者(オーナー)である株主によって構成される会社の意思決定機関で、会社の重要事項を多数決で決定します。

取締役会を設置しない中小会社の場合には、会社に関するあらゆる重要事項を株主総会で決めることになります。

 以下のようなときに株主総会を開きます。

 ①会社の決算承認するとき
 ②取締役監査役を決めるとき
 ③配当を出すとき
 ④資本金を増やすとき、減らすとき
 ⑤株を譲渡するとき
 ⑥定款変更するとき
 ⑦会社を合併するとき
 ⑧会社を解散するとき


◇定時株主総会と臨時株主総会…

通常の株主総会には、定時株主総会(定時総会)と臨時株主総会(臨時総会)があります。株主総会は原則として取締役が招集します。一定の場合には株主が取締役に対して株主総会の招集を請求することができます。

①定時株主総会

決算期ごとに行う株主総会で、毎年決算日後の3ヶ月以内に行います。会社の決算の承認役員報酬配当などが議案となります。

②臨時株主総会

何か重要事項の議決が必要になったときに開催する株主総会です。特に開催時期や開催回数の決まりはありません。

中小会社の場合、株主が代表者の親族だけとか、代表者1人のみのケースも多く株主総会の開催がはっきりしないことが多いものですが、しかし親族で会議を実行して株主総会とすべきでしょう。税務上も株主総会で決定したという事実が重要になることも多くあります。

株主総会の招集や決議は?

◇株主総会の議決権

株主は原則として1株につき1票の議決権を持ちます。株主総会では、参加している全議決権に対して一定の割合の議決権の賛成があると議案が可決されます。

 
◇株主総会の決議の種類には…

株主総会では、出席した株主で議案を決議します。議案が採決されるための得票数は、議案の種類によって変わります。

(1)普通決議…議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、その株主の議決権の過半数で決議するもの。

 ・貸借対照表、損益計算書などの承認
 ・取締役の選任・解任  ・監査役の選任
 ・自己株式取得に関する決議
 ・取締役報酬の決定  ・監査役報酬の決定
 ・会計監査人の選任・解任

(2)特別決議…議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、その株主の議決権の3分の2以上で決議するもの。

 ・定款の変更
 ・監査役の解任
 ・会社の解散  ・会社の合併
 ・資本金の減少  ・事業譲渡

(3)特殊決議…原則として議決権を行使できる株主の半数以上、かつ議決権の3分2以上が必要なもの。

 ・定款変更により、株式譲渡制限会社に移行する場合


◇株主総会の招集には…

 株主総会を開<ために、株主へ株主総会の開催を知らせる手続きが必要です。

(1)取締役会を設置しない会社

 招集通知の発送は株主総会の日の1週間前までに行えば良く、定款に定めれば招集通知の発送の期限を、3日前もしくは前日までに変更することができます。
 通知の方法も書面で行う必要はなく、口頭や電話などでかまいません。

(2)取締役会を設置する会社

 招集通知を書面またはメールで通知したり、招集通知と合わせて計算書類などを添付する必要があります。株主全員の同意があれば、招集手続きを省略できます。

 なお、株主譲渡制限会社でない場合は株主総会の2週間前までに招集通知を発送することになっています。


◇株主総会議事録の作成と保存

株主総会を開いたら必ず株主総会議事録を作成します。議案、総会での株主と取締役のやりとり、株主総会の開催場所、株主総会の出席人数などの内容を文書として記録します。

株主はいつでも株主総会議事録を閲覧する権利を持っています。
株主総会議事録は会社に10年間保存しなければなりません。

 

中小会社の場合、株主が代表者とその親族というケースが多く、議決権や普通決議、特別決議などの決議の違いについては、あまり意識しないかもしれませんが、これらの違いだけは理解しておくべきでしょう。

税務上、株主総会の議事録も大事になることがあります。きれいなワープロ作成でなくても、手書きの会議メモで十分ですので保存すべきでしょう。

取締役と取締役会について

◇取締役の選任と解任はどう決めるのか?

 取締役は、原則として株主総会で選任します。

 株主が代表者ひとりだけで取締役も代表者だけの場合にも、株主総会で、株主である自分が自分を取締役に選ぶことになります。

 取締役を解任するには、株主総会普通決議で決まります。


◇取締役になれない人はいるのでしょうか?

法人…会社などの法人は取締役にはなれません。

成年被後見人または被保佐人…高齢や病気などの理由により通常の判断能力を失っているため、裁判所により後見人や保佐人が付けられている人は取締役にはなれません。

③会社法・証券取引法・破産法など会社に関連する法律に規定される罪を犯し、刑に処せられ、または刑を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

④その他の犯罪により禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで、またはその執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者を除きます)

 ときどき未成年である子供を取締役したいという質問がありますが、取締役の責任を果たせるかどうかということはともかく、法律的には可能です。


◇取締役の解任のが簡単にできないようにするには?

取締役の解任は、株主総会の普通決議で簡単に決まってしまうため、これを回避するためには、定款取締役解任の条件を記載することにより、解任の条件を厳しくすることもできます。


◇取締役の任期は?

取締役の任期は原則2年ですが、定款に定めることによって最長10年まで延長することができます。期間は10年以内であれば、4年や5年などと自由に設定できます。

代表者一人が取締役の場合、取締役の交代を考える必要はありません。取締役重任登記の手間と手数料を考えると、任期は最長期間である10年にしておいた方がよいのではないでしょうか。


◇役員重任登記を忘れずに!

役員の任期が終了し、次にまた同じ役員が選ばれることを「重任」と呼び、役員の任期を更新するということです。

役員の任期が切れたときは、役員の構成に変更がなくても、株主総会を開いて役員重任の決議を行い、それを議事録に残して、役員の任期を更新する登記を行う必要があります。

忘れて登記を行わないままにしておくと、登記所から突然数万円の罰金の通知が送られてくることがありますので注意すべきでしょう。


◇破産した人も取締役になれるのか?

会社法以前は破産手続き開始決定を受けて復権していない人は取締役になれませんでしたが、現在は取締役になることができます。


◇取締役になった場合にやってはいけないことは?

取締役が以下の利益相反行為競業取引を行う場合は、会社に損害を与えるおそれがあるので、事前にその取引について株主総会または取締役会承認を得なければなりません。

取締役会を設置していない会社は株主総会の承認が、取締役会を設置している会社では取締役会の承認が必要です。


(1)利益相反行為

取締役と会社との間で取引を行うことは、双方の利益が対立するので認められません。

例えば、取締役が会社の土地を不当に安い値段で買った場合は会社に損害が出ることになります。

(2)競業取引

取締役が自分や第三者のために、会社と同じ種類の他の会社の営業を行えば、会社に損害を与える危険があります。

具体的には、会社の取引先が奪われるなどの危険があります。


◇取締役会とは? 設置する必要があるか?

取締役3名以上で構成されるのが取締役会です。

会社の業務運営の決定やそれぞれの取締役が業務内容などの監督を行います。

公開会社では必ず設置しなければなりませんが、公開会社以外はは特に設置しなくてもかまいません。

①取締役会を設置していない会社は、株主総会でいろいろな意思決定を行います。

②取締役会を設置している場合は、取締役会意思決定を行ってから株主総会承認を得るという形になります。取締役会では、重要な業務執行や重要な財産の処分、社債の募集などの決議を行います。

会計参与と監査役とは?

◇どちらの機関も設置は任意ですが…

会計参与と監査役の設置は会社の任意なので、設立時にはどちらの機関も設置をしないで、途中から設置をすることも定款を変更すれば可能です。

会計参与と監査役は、会社の役員という扱いになります。どちらの機関もその会社の関係者や子会社の関係者が兼ねることはできません。


◇会計参与って何? 監査役は?

会計参与になれるのは会計の専門家である税理士公認会計士だけです。

監査役も会計のチェックなどを行いますが、税理士・公認会計士以外の人でも監査役になれます。監査役になることができない人の条件は取締役と同じです。

会計参与の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年ですが、どちらも定款に定めれば最長10年まで延ばすことができます。


◇会計参与の設置のメリットって?

会計参与は取締役と共同して決算書を作るのが主な仕事です。

 会計参与の設置のメリットは以下のとおりでしょう。
 ①決算書の信頼性が増す。
 ②金融機関の融資条件などが良くなる可能性がある。
 ③会計の専門家なので監査役よりもチェック機能が働くことが期待される。


◇監査役の監査の範囲は?

監査役の監査の範囲は、会計監査業務監査があります。

定款で定めることによって会計監査のみに限定することもでき、この場合は株主の業務監査の権限が強くなります。

中小会社では、監査役・会計参与などあまりなじみがないし監査役を設置していても「名ばかり」の場合がほとんどではないでしょうか。しかし、今後は金融機関などの外部への決算書の信頼性確保のため監査役・会計参与の役割の重要性も高まるのではないでしょうか…。

中小会社の役員や組織はどんな形式がよいのか?


◇中小会社に考えられる組み合わせは?

 中小会社ではの自社の実態に合った役員・組織(機関設計)を行うことが重要でしょう。

 具体的に中小会社に考えられる機関の主な組み合わせは以下のとおりです。
  株主総会取締役は必須の機関です。

 ①株主総会+取締役
 ②株主総会+取締役+監査役
 ③株主総会+取締役+監査役(会計監査権限のみ)
 ④株主総会+取締役+監査役+会計参与
 ⑤株主総会+取締役+会計参与
 ⑥株主総会+取締役会+監査役
 ⑦株主総会+取締役会+監査役(会計監査権限のみ)
 ⑧株主総会+取締役会+会計参与
 ⑨株主総会+取締役会+監査役+会計参与
 ⑩株主総会+取締役会+監査役(会計監査権限のみ)+会計参与
 ⑪株主総会+取締役会+監査役会+会計参与

 上記のうち①、③は親族だけで会社経営を行う旧有限会社的な機関設計となります。


◇取締役会を設置すべきでしょうか?

機関設計のポイントは取締役会を設置するかどうかです。

取締役会を設置するならば、経営形態に合わせたいろいろな機関設計が考えられます。
取締役会を設置しないならば、①、③のパターンの旧有限会社的な機関設計が実態に合っているでしょう。

(1)将来的にも代表者一人や親族のみで会社経営を行う場合

  ずっと親族だけで経営をしていきたい場合は、取締役会を設置する必要はないでしょう。

(2)外部の人材も積極的に経営にとりいれたい

  従業員のうち有望な人材は取締役にするなど、外部の人材も積極的に経営にとりいれたいと考えている場合は、取締役会を設置した方が良いでしょう。

定款や登記事項の変更はいつでもできるので、機関設計の変更もいつでもできます。したがって最初は取締役会を設置しないで何年か事業を行い、会社が発展して組織が大きくなった時点で組織を再検討して、定款や登記事項を変更して途中から取締役会を設置していくとするのもよいのではないでしょうか。


◇株主構成によっては取締役会を設置も…

機関を決めるにうえで、もうひとつのポイントとなるのは株主の構成です。

中小会社にあった機関設計をすると、株主の権限がかなり強くなります。

少数でも友好的でない株主がいる場合は、取締役会を置くことに意味があります。
取締役会を置くことによって、株主総会の議題を限定することができるためです。友好的ではない株主がいる場合、株主総会で利益相反や競業取引の承認に反対される可能性がありますが、取締役会を設置すれば、これらの承認は取締役会で行うことができ、株主総会の議決は不要となります。


◇株主・役員の構成から考えると機関設計は?

①株主は友好的親族だけで経営していきたい…

   株主総会+取締役
   株主総会+取締役+監査役(会計監査権限のみ)

②株主は友好的外部人材を取り入れて経営していきたい…

   株主総会+取締役会+監査役(会計監査権限のみ)

③潜在的に友好的でない株主がいるので株主の経営への影響をなるべく少なくしたい…

   株主総会+取締役会+監査役

会社設立のときは、役員・組織について「おまかせします」のケースが多いですが、基本的な意味合いは理解してどんな形態がよいか考えてみてください。

定款とは何ですか?

◇定款とは…

定款とは、会社の組織活動に関する重要な規則であり、「会社の憲法」と言えます。

会社設立には、必ず定款を作成しなければなりません。内容は、発起人自由に決めることができますが、法的に決められた要素を入れる必要があります。


◇定款の効力は…

定款は、公証役場で「定款の認証」をしてもらって初めて定款に効力が生じます。

この最初に作った定款を「原始定款」と呼び、認証後の原始定款は設立登記の手続きに必要な書類となります。

設立登記をすることによって、原始定款で定めた商号住所資本金など会社の基本的事項が開示されます。
 
◇定款の電子認証…

定款は電子文書で作成し公証人に電子認証してもらうこともできます。

この方法は印紙代が不要ですが、電子証明書など環境を整える必要があり費用がかかります。
「定款自治」、すなわち「定款の内容によって会社を運営する」と言われ、したがって会社の実態と定款の内容が一致するようにすべきでしょう。

定款にはどのようなことを記載すべきなのでしょうか?

◇定款の要素とは…

 定款の内容には、以下の3つに分けられます。

 ①「絶対的記載事項」…絶対に入れなければならないもの

 ②「相対的記載事項」…入れなくても良いが、入れなければ法的効力が認められないもの

 ③「任意的記載事項」…入れなくても良いが会社があえて基本事項として明文化したもの

「相対的記載事項」と「任意的記載事項」は、まったく書かれていなくても定款は無効にはなりませんが、「絶対的記載事項」が1つでも欠けていると、公証役場で定款として認めてもらえませんので注意が必要です。


◇絶対的記載事項とは…

 以下の内容を記載しないと定款として認められず、定款そのものが無効になります。

 ①事業目的 
 ②商号 
 ③所在地 
 ④設立時の出資額またはその最低額 
 ⑤発起人の氏名と住所


◇相対的記載事項とは…

この事頂が記載しなくても定款は無効にはなりませんが、会社側がメリットを受けるためには定款に定めておくことが必要です。

株式譲渡制限に関連する定め

好ましくない人が株主になる可能性を避けるため、全ての株式に譲渡制限を付けます。このことによって「株式譲渡制限会社」となり、中小会社へ有利な特例が使えます。

取締役は株主でなければならないなどの定め

この規定がないと株主以外の人物が取締役になれてしまいます。取締役を親族だけで固めたい場合などに記載します。

取締役会監査役会計参与などを設置する旨

株主総会と取締役はどの会社にも必須の機関です。これ以外の機関設計については登記事項となっているため、設置する場合は必ず記載します。

役員の任期の延長

最長10年まで役員の任期は延長できますが、この規定がないと役員の任期は2年、監査役は4年の原則通りになります。

株主総会の招集期間の短縮

この規定がない場合、原則通り 1週間前までに招集通知を行います。

現物出資についての記載

現物出資を行うときは、必ず記載します。


◇任意的記載事項とは…

会社の規則として明文化しておきたいものを記載します(記載が無くても定款は無効になりません)。定款に記載することにより、会社の運営方針を株主などに伝えることができます。

  ①取締役・監査役の数

  ②定時株主総会の招集時期や招集手続

  ③事業年度(決算期)


新しく会社法によって、今までよりも相対的事項の範囲が広がり、会社が自由に作成できる部分が広くなりました。これによって会社の運営をどのように行っていくかを定款で決められるようになったのでいろいろ考えてみてはどうでしょうか?